川端康成氏の「亥」
2016.09.07
皆様こんにちは。代表の吉田です。いつもかつ吉をご愛顧頂きありがとうございます。
最近店内に飾ってある物を一つ一つ補修したり、仲間達に由来などを教えています。最近は若い社員が増えてきたので、私も若い頃を思い出しながら自分の言葉で伝えるようにしています。
今日はその中から先日撮ったこの「亥」について、父や叔父、そして創業の祖父から聞いたエピソードなどを交えてお伝えしたいと思います。
かつ吉には先代吉田吉之助が遺してくれた書や器が幾つかあります。写真の書(亥)は約半世紀前に故川端康成氏に書いて頂いた物です。
先代は当時日比谷の中華料理店(山水楼)のご主人「宮田さん」に川端氏を紹介頂いたようです。その後交流が深まり、自宅へもたまにお邪魔していたそうです。
そんなある日とんかつ屋の主人に贈る言葉が「豚」では色気が無い、「亥」にを書いてさしあげましょう!と孔雀の筆でこのようなどっしりと優しい字を書いて頂きました。
書はその方の体を表すと言いますので、きっと繊細かつ心の器はかなり大きな方だったのではないかと感じております。※常連でいた故三島由紀夫氏と川端さんは盾の会でもお店をご利用頂いたようです。
そしてこの「亥」の字を30年程前この「こね鉢」に彫ったのが弊社現会長の次郎です。秋葉原丸五の店主竹内氏がかつて蒲田で営業をしていた「煉瓦(れんが)」を開店する際にお祝いとして贈った物です。
そして巡り巡ってかつ吉日比谷店のオープンに竹内さんに頂いたことで、現在日比谷店の入口に飾っております。商売を続けているとこういう話がたまにあるので嬉しいです。
またこの歴史背景を考えると混乱期の戦前戦後を生き抜き「かつ吉」を作った祖父、それを継承した父、50年以上にわたりかつ吉をご愛顧頂いている沢山のお客様への感謝の気持ちが湧いております。本当に有難いです。
※吉之助が遺した文献や所については「かつ吉資料館」をご覧ください。文献は沢山あるので「吉田吉之助文庫」にまとめております。お時間がありましたら覗いてみて下さい。
私達も後世にかつ吉の文化を継承出来るよう尽力していきたいと思います。これからもかつ吉を宜しくお願いします(^▽^)/